【伝達】説明の方法論


説明の手法については、「演繹」、「帰納」、「推論」に分類した「論証の三分法*1」が、あります。ここでは、「演繹的説明」と「帰納的説明」の差異*2について、考えてみます。

これら手法について、考えてみるに、「表現する時間の長さ」によって分類することが、分かりやすいです。仮にある事象を「10分」で説明しなければならない、という場面を想定してみます。この場合、論理だてた「演繹的説明」をおこなうのであれば、ひとつひとつの「公理 」を理解してもらわなければならないわけですので、とてもではないですが、10分では終わりません。

長尾真は、「演繹的説明とは、ある条件・状況が存在していれば、この因果関係(法則)が働いて、このような結果が得られるという形の説明である。」、さらに、「<ソクラテスは人間>である事実から、<ソクラテスが死ぬ>ことを説明しようとすれば、<人間はいつか死ぬ>ということから始まり、<人間>や<なぜ死ぬのか>、さらには<人間はなぜ生まれたか>などについて言及しなければ、最後の結論に行きつかない。結論を結論的に理解するためには、その過程を十分把握しなければならないのである。」と述べています。

先の内容を「10分」で説明するには、論理を手短にまとめ、結論を導き出すことも可能ですが、しかし、それは説明する側の論理。受け側にしてみれば、その手短な論理がひとつでも欠けることにより、結論を導き出せない場合もあるわけですね。

「帰納的説明により、結論たる仮説を先に述べておけば、その説明たる公理が多少欠落しても、十分にその結論を補完できる、ということです。「りんごが木から落ちる」という現象は「万有引力」により起こるものである、という仮説を説明できれば、「万有引力」に対する説明が多少欠落しても、その内容を伝えると言うことにおいては、問題はないでしょう。このことにより。説明時間が極端に縮まることは明らかです。


いずれにしても、相手に理解を求めるためには、きちんと相手に向かい、「こころ」を持って取り組むことが大切であることは、言うまでもありません。