【環境】考える環境と道具選び


以前、「論文デザイン教室」という講義を、大学院の院生の要望で自主開講したことがあります。その中で、「人はどこで発想するのか」というテーマと、「PCスキル」の分布から、何のソフトを覚えるのがよいのか、ということを調査したことがあります。15名ほどに対するアンケートですので、数値としては信頼できるものではありませんが、異なった視点での見方ができました。

アンケートを集計してみると、大きく3つの環境に分類されます。

(本分析は、自己組織化マップ「Self Organization Map:SOM」という手法を用いています)

使用しているPCのタイプ(ノート、デスクトップなど)を変数として取り込んでいますが、PCタイプは、思考環境に大きく影響を与えるようです。この分類された内容は、以下ようなの性質のクラスターであると解釈できます。

 ■青:「自分一人で集中していると、いろいろな考えがつながる。」(自分と向き合う)
 ■黄:「周りの動きを観察していると、突発的に思い浮かぶ。」(対象と向き合う)
 ■赤:「自分自身が発言することで、気づきがもたらされる。」(自分と対象で交わる)

それぞれのクラスターに、「論文作成」「学会発表」の経験および「PCのスキル」に関する相関関係を調べたところ、画面のような結果となりました。

 

●「論文作成」経験者(Q1)の赤縞の位置(左中央)に対する<Q4-Q7>画面をみると、「エクセル」(Q5)のみ同色にはなっていません。「ワード」「パワーポイント」のには、非常に強いが「エクセル」は得意ではないことがわかります。

 

●「ワード」と「エクセル」は、あまり赤縞の位置が一致していません。使い込んだツールについては、得意だということでしょう。たしかに「エクセル」の得意な方は、文書もすべてエクセルで書いてしまう、という例がよく見られます。

 

●「統合活用」(Q7)と「パワーポイント」(Q6)の形がよく似ています。「統合活用」とは、切り貼りなどソフト相互間のスキルを表します。

 

これらのことから、全体的に眺めると、「パワーポイント」を習得している人は、「ワード」「エクセル」「統合活用」に対するスキルも備わる、という仮説を立てましたが、この調査以来、Officeを新たに活用する際には、「図形処理系」のパワーポイントの習得を勧めるようにしています。

(本調査の実施時期は2002年のため、ノートPCは、適度に普及しているものの、バッテリーの持続時間が長くはありませんでした。また、この後に出現した携帯電話と携帯メールが、各個人の思考環境の変化に、大きな影響をもたらしたことは言うまでもありません)