現代情報化社会では、さまざまなメディアを通して多くの知識を得ることができるようになりました。豊富な知識はやがて多くの経験を重ね、新たな知恵を生み出します。新たな知恵は、優れた知能により生かされ数多くの課題の解決を図っていくことでしょう。やがてこれらの経験の積み重ねにより「考える知性」が芽生えてくるものと考えます。

 

しかし、人間の記憶能力には限界があります。悲しいかな、新たな知識を取り込むたびに、過去の知識は忘れ去ってしまうのです。とはいえ、多くの情報をコンパクトな形にしてイメージとして取り込めば、情報容量は大いに低減するのではないでしょうか。覚えたことを忘れるのは人間の得意技。どうせ忘れるのであれば「うまく忘れて」しまった方がいい。忘れることを恐れるのではなく、想い出せないことを恐れたほうがいいのです。

 

「いかに覚えるか」よりも、「いかに忘れ、いかに想い出すか」。その解決方法が、「一覧図(Remind Map)」であるものと考えます。

覚えるべきか、忘れるべきか、それが問題

▮ Article「想い出せるなら忘れた方がいい」

2014年10月、MOS-PowerPoint 2010(PPT)を957点(1000点満点)で取得。取得したとはいうものの、そもそも機械や建築業界向けにCADシステムを教えていたから、そのテストは驚くほど難しいものではありませんでした。PowerPointは、これからもバージョンアップを続けていくと思いますが、ますますCADの機能が採用されているような気がします。名前は異なるかもしれませんが、将来、3次元PowerPointのようなアプリケーションが出てきてもおかしくはありません。

 

以前より、「文書、表計算、プレゼンテーションなどのビジネスアプリケーションを覚えるのに、どんなシステムが良いのですか?」という質問を、しばしば受けることがありますが、私は、躊躇せずPowerPointをお勧めしています。

 

2001年に、研究の一環として大学院生向けに「思考環境とMS-Officeアプリケーション」というアンケートを実施しました。その理由は、「Wordで論文を書く人はExcelを好まず、Excelで表計算をする人は、文書をExcelを使って書く」ということが奇妙に思えたからです。それは、それで、何ら問題はないのですが。

 この(わたしにとって)不可思議な状況を、SOM(自己組織化マップ)というデータマイニングツールを活用して解明してみました。その結果、「パワーポイントを習得した人は《Word》《Excel》《統合的活用》の潜在的スキルも身につけている」という仮説を思い浮かぶことができました。調査以来、この仮説について実証実験を行っています。

 

その後、4年間(半期に1回計8回)、大学院生の要望に応じて、Wordの裏技やPowerPointの機能メカニズムを中心とした自主開講講座「論文作成のための講座」を実施しました。一日の講義の終了後のあわただしい時間にもかかわらず、多くの院生が参加したことから、少しは役に立ったのかもしれません。

 

2000年あたりから、世界を取り巻く課題はこれまで以上に複雑になってきています。これらの問題を解決するためには、様々な分野の知識を取り入れねばなりません。あふれでる情報の整理整頓とともに、知り得た知識を記憶に残す新たな方法の必要性があると考えました。

世界の状況をつかみ取るためには、その前にいろいろな国の文化や歴史、関係性を知ることが重要です。しかし、西洋文化の基礎ともなる「旧約聖書」から「エジプト文明」、さらには「ギリシャ神話」に至るまで、日本文化の礎である「日本神話」や「仏教」などは、工学系の私にとって非常に理解しづらい物語でした。

 

複雑なストーリーは、まず重要な点を抽出しそして不要な情報を捨て整えていくわけですが、全体の関係性を結ぶことで、驚くほど理解しやすくなるわけです。そこで、得意のパワーポイントを使ってギリシャ神話の一覧図(いうなれば地図)が完成しました。Googleなどの検索システムで「ギリシャ神話 図解」のキーワードにて画像検索すると、上位に位置されることことから、数多くの方々が関心を持っているものと感じています。

 

しかし、私はこの物語マップでさえ、あまりにも情報が多すぎることから、物語全体をすばやく想い出すことができません。

 

そこで、複雑な物語、制度、関係を記憶に残す方法を考案してみました。それは、このマップをイメージとしてとらえ、他の形状(メタファ)に置き換えるということ。そして細かい情報を忘れてしまうことです。「仏教」は、「心」という文字に置き換えることができました。

 

実際には、この文字ですべてが想い出せるわけではありません。しかし、この方法により個人の記憶容量を軽減できることから、脳の記憶の機能を、他の仕事や趣味に使うことができるようにも思います。これは、いうなれば「情報のアナログ的な圧縮と解凍の技術」。

 

覚えた知識は、深い無意識層に置き、そして忘れる。やがて、深い記憶の中で小さな揺らぎが起こり、創発的にアイデアがひらめく、というわけです。「想い出せるならば、忘れた方がいい」。そう思うのです。これからの仕事や学習の方法の一つとして、活用されることを期待したいところです。

 

AI技術の得意技は、学習することにより演繹法または帰納法的に答えを引き出すことと考えます。人間の得意技とも思える推量(アブダクション)的な思考法は、ますます複雑化する現代社会の思考法として、今後も注目されていくのかもしれません。

▮ Essay「多様な人々が暮らす街」


玉川上水は、江戸時代(1653年)に玉川兄弟により開削された、総延長43kmの上水道だ。羽村の取水堰から、多摩川の新鮮な水を取り込み、江戸の飲料水として供給された。

 

羽村、福生、昭島、立川、小平、小金井、武蔵野、西東京、三鷹、杉並、世田谷、渋谷、新宿の市区にまたがる露天掘りの上水道は、江戸時代の優れた測量技術を物語る。この玉川上水から、さらに野火止用水など数多くの用水路が分岐され、武蔵野台地の痩せた田畑をうるおしたという。

 

 一方で、かつては上水道であった玉川上水も、現在では、三次処理水がわずかに流れる下水道。あの太宰治が入水した当時とは、全く異なってしまった。玉川上水の影の部分にも陽を当てなければならない。

 

その歴史ある玉川上水側道が、わたしの通勤路だ。


混雑した電車に乗り、長い時間をかけ職場に到着したかつての生活とは異次元な世界。ニューヨークのセントラルパークを引きのばしたような延々と続く「水と緑と光」の空間。その中を、朝の日差しを浴びながら、軽やかに走り抜ける。

 

    キャンバスを重そうに引きずるムサビの美術家の卵たち

    さっそうと風を切り通りすぎる津田塾のお嬢さん方

    メタボを解消すべく速足で汗を流すご中年

    ママチャリで、朝の買い出しに、駆けるご婦人方

    愛犬を取り囲み談笑する人々、散策を楽しむ老夫婦

 

延々と続く武蔵野の雑木林には、多様な人々が暮らす。

 

人々、地域、歴史、その関係性は奥深い。 

 



プロフェッショナルを目指すべく、知性を磨こう。

知性を磨くためには、知恵を絞る必要性があります。

知恵を絞りだすためには、経験と知識の習得が欠かせません。

 

そのためには、巷にあふれる情報を知識として取り込み蓄えていくことが重要です。 

 

 知識デザイン工房(Sophia Design Works)は、社会貢献、地域活性化、環境問題、教育などの課題に対して、人々や地域の能力開発を念頭に様々な構想つくりに励んでいます。特に、戦略思考の基盤となる歴史/文化/制度/技術など、現代社会における複雑な事象を紐解き視覚化。新たな活動の概念を発想させることに注力し、次世代の人々や地域の成長に貢献したいと考えています。