現代情報化社会では、さまざまなメディアを通して多くの知識を得ることができるようになりました。豊富な知識はやがて多くの経験を重ね、新たな知恵を生み出します。新たな知恵は、知能として蓄えられ、あらゆる課題の解決を図っていき、やがて「考える」基盤となる知性が芽生えてくるでしょう。

 

しかし、人間の記憶能力には限界があります。悲しいかな、新たな知識を取り込むたびに、過去の知識は忘れ去ってしまうのです。とはいえ、多くの情報をコンパクトな形にしてイメージとして取り込めば、情報容量は大いに低減するのではないでしょうか。覚えたことを忘れるのは人間の得意技。どうせ忘れるのであれば「うまく忘れて」しまった方がいい。忘れることを恐れるのではなく、想い出せないことを恐れたほうがいいのです。

 

「いかに覚えるか」よりも、「いかに忘れ、いかに想い出すか」。その解決方法が、「一覧図(Remind Map)」であると考えています。

覚えるべきか、忘れるべきか、それが問題だ

▮ 考えることのデザイン考

そもそも、考えていることをデザインしようと思い立ったのは、某広島の自動車会社に「もの作りのプレゼンテーション」をしなければならない、という状況に陥ったことに始まる。「釈迦に説法」ともいえる状況の中で、当日早朝に思いついたイメージを手書きで作成。「社会の移り変わり」というタイトルで、最初の「つかみ」のチャートを完成。事なきを得た。それは1988年のことだった。

 よくよく見ると、その場しのぎで描いたものの、各種要素の絡みあった興味深い構成である。その後も、同様の図案を描き続けると同時に、「一覧性」の特性を研究しユニークな絵を作成していった。

2000年ころより「情報デザイン」や「図解」、「マインドマップ」をはじめ、論理的思考法の概念が発展。今後は、AIの導入により、さらに事象の関係性を重視した図による新たな考え方がでてくるものと期待している。

▮ Essay「多様な人々が暮らす街」


玉川上水は、江戸時代(1653年)に玉川兄弟により開削された、総延長43kmの上水道だ。羽村の取水堰から、多摩川の新鮮な水を取り込み、江戸の飲料水として供給された。

 

羽村、福生、昭島、立川、小平、小金井、武蔵野、西東京、三鷹、杉並、世田谷、渋谷、新宿の市区にまたがる露天掘りの上水道は、江戸時代の優れた測量技術を物語る。この玉川上水から、さらに野火止用水など数多くの用水路が分岐され、武蔵野台地の痩せた田畑をうるおしたという。

 

 一方で、かつては上水道であった玉川上水も、現在では、三次処理水がわずかに流れる下水道。あの太宰治が入水した当時とは、全く異なってしまった。玉川上水の影の部分にも陽を当てなければならない。

 

その歴史ある玉川上水側道が、わたしの通勤路だ。


混雑した電車に乗り、長い時間をかけ職場に到着したかつての生活とは異次元な世界。ニューヨークのセントラルパークを引きのばしたような延々と続く「水と緑と光」の空間。その中を、朝の日差しを浴びながら、軽やかに走り抜ける。

 

    キャンバスを重そうに引きずるムサビの美術家の卵たち

    さっそうと風を切り通りすぎる津田塾のお嬢さん方

    メタボを解消すべく速足で汗を流すご中年

    ママチャリで、朝の買い出しに、駆けるご婦人方

    愛犬を取り囲み談笑する人々、散策を楽しむ老夫婦

 

延々と続く武蔵野の雑木林には、多様な人々が暮らす。

 

人々、地域、歴史、その関係性は奥深い。 

 

《お薦め図書》

 

希望と幸せを創造する社会へ

<センス・オブ・ハピネス>

希望と幸せを創造する社会とはどのようなものか。現代社会に、これからの人類のあるべき生き方を問いかける。新たな構想概念である「社会デザイン」を中心に、さまざまな形態の社会モデルを解説、未来社会の方向性を示唆する一冊といえる。私のような庶民にもわかりやすい、哲学書のようにも思える。(望月照彦著)

ひとつの言葉とひとつの絵に込められた思いが心に残ります。(コピーライター:眞木準著)   <2009年没:60歳>

「思考の整理学」で著名な外山滋比古氏が知のトレッキング叢書として刊行。球面思考という新たな概念で、現代の「考える」を解説。外山氏の思考整理法には大きく影響を受けた。

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財務諸表を一体化させ読むという、これまでにない視点。例題と共に解説がわかりやすい。(國貞克則著:朝日新書)

科学技術の発展は、世界の人々に利便性をもたらした。一方で、その発展が新たなる被害を生み出していることも否めない。元京大総長の長尾真氏がわかることの重要性を紐解く。説明の大切さを知った一冊。

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経営戦略論に関して、某出版社の方から勧められた。現代社会における戦略論を見直すよい機会となった。(沼上幹著)

現代ビジネスを実践するプロは進化しなければならない。プロとして活動する人の必読書。個人シンクタンクとしての生き方を学んだ一冊。

(田坂広志著:PHP)


身を賭して世界の貧困に立ち向かうプロとしての姿に感服。仕事は真摯に覚悟をもってせねばならない。(元世界銀行副総裁:西水美恵子著)